眺望や日当たりが良い高層階に人気があるタワーマンションですが、実は低層階にも魅力があります。低層階のマンションに住むことのメリットやデメリット、価格や家賃について詳しく解説していきます。
タワーマンションの定義とは
どこからがタワーマンションなのか
タワーマンションとは高さ何m以上・何階建て以上のマンションのことを指すのでしょうか。実のところはっきりと決まっているわけではありません。しかし、建築基準法において高さ60メートルを超える建物を「超高層建築物」と定義しているので、一般的に高さ60メートルを超えるマンションがタワーマンション(タワマン)と呼ばれることが多いです。高さ60メートルの建物は、階で言えばおおよそ20階建て程度になります。
どこからが低階層なのか
タワーマンションの低層階についても、明確な決まりはありません。10階建て程度のマンションでは1~3階、15階建て程度のマンションでは1~5階程度が低層階とされることが多いですが、タワーマンションの場合、20階建てなら1~7階程度が低層階とされ、40階以上のタワーマンの場合は14~15階の住戸も低層階に含まれることがあります。エレベーターが低層階用と高層階用に分かれている物件もあり、その階数が目安とされることもあります。
タワーマンション自体のメリット
まずは、高階層か低階層かに関係ないタワーマンション自体のメリットを挙げていきます。
好立地にある
多くの場合、都心や駅近の好立地に建てられるタワーマンションは、通勤や通学が便利な利便性の高い暮らしが実現できます。再開発エリアでは、マンションが完成する前段階から周辺に商業施設や医療施設が整備されており、生活のしやすさが高い点も魅力です。
エントランスや外観が豪華である
大規模なタワーマンションのエントランスは、デザインの美しさや開放感のある吹き抜けなどが特徴です。また、広々とした車寄せがあり、天気が悪い日の車での移動も便利に行えます。
共用施設やサービスが充実している
総戸数の多いタワーマンションは、充実した共用施設やサービスを提供しています。コンシェルジュサービスや24時間の有人管理、最新のセキュリティシステム、トレーニングルームなどが含まれます。また、高層階には眺望を楽しめるラウンジなどが設けられており、低層階に住む人でも利用できることがあります。キッズルームやBBQスペースがあったり、フロアごとに24時間ゴミを出せるクリーンステーションが設けられていてゴミ袋を持ってエレベーターに乗る必要がないマンションもあります。
固定資産税が安い
大規模なタワーマンションでは、住戸数が少ないマンションと比べて、各住戸が土地の持ち分割合が小さくなる傾向があります。その結果、土地に対する固定資産税が低く抑えられることがあります。
再販売しやすい
立地や条件が良く、資産価値が安定しやすいタワーマンションは将来的に売却も視野に入れている場合、大きな利点です。人気のある立地や物件は、買い手が見つけやすく、購入価格よりも高く売却できた例も多いです。
低階層ならではのメリット
タワーマンションの恩恵と低階層の恩恵が両方あり、以下のような点が挙げられます。
気軽に外へ出られる
タワーマンションに限った話ではありませんが、高階層のデメリットとして住戸の玄関から建物の外に出るまでに時間がかる・遠いというものがあります。その点で、低階層に住んでいれば外出するのが億劫になりません。
災害や停電に強い
タワーマンションは、安全性に関する厳格な基準を満たして建設されており、地震に強い構造が採用されています。しかし、地震の長周期地震動と共振しやすく高層階での揺れが大きくなる傾向があります。そのため低層階の方が地震時の揺れは小さく、恐怖は和らぎます。
建物の外へ避難するのにかかる時間も短いですし、停電でエレベーターが停止したときも階段で行き来するのがそこまで苦しくありません。
低階層にしかない眺望がある
マンションの敷地内や近くの公園の緑がまるで自分の庭園のように感じられる良さがあります。
価格が抑えられる
タワーマンションでは、上階ほど価格が高くなるのが普通です。同じ立地・同じ間取りであっても、低層階の方が価格が比較的安くなります。眺望よりも広さに魅力を感じている場合は実に都合が良いです。
低階層のデメリット
メリットがあれば、どうしてもデメリットもあります。後悔しないために事前に把握すべき事柄です。
採光が良くない場合がある
周辺の建物や環境によりますが、低層階は通常、高層階に比べて採光が不足することがあります。近距離に他の高層建築物がある場合は確認が必要です。周囲の建物との距離が十分であれば、採光の心配は少ないです。
眺望に不満がある場合がある
眺望の良さを求める場合は、低層階でも見劣りしないように工夫はされているものの高階層と比較すると物足りないかもしれません。物件を見学する際には、時間帯も想定して窓からの眺望を確認することが重要です。完成前のタワーマンションでは、実際の住戸からの眺望が確認できない場合がありますが、モデルルームに眺望のイメージ画像が用意されていることが一般的です。低層階から高層階までの眺望の違いを確認して、自分に合った眺望を選ぶことが重要です。
セキュリティ面で注意が必要である
タワーマンションは24時間の有人管理や警備会社との契約、複数のオートロックなど、高いセキュリティ対策が施されています。しかし、低層階、特に1~3階の住戸の場合、外部からの侵入リスクは高層階に比べて高い傾向があります。ただ、最上階も屋上から侵入しやすいということもあり、セキュリティ面でより強固なのは中階層であるという話もあります。
防音が必要な場合がある
高層階でも予想外に遠くの音が聞こえたり、風の音が気になることがありますが、低層階の場合は電車の通過音や駅のアナウンス、道路を通る車の音などが騒音として感じられることがあります。立地が良いということは、車の交通量や人通りも多くなりがちであるということで、比例して騒音のリスクも上がります。
虫が室内に入ってきやすい
ハエや蚊などの虫は、高層階であってもエレベーターを利用して室内に入ってくることがあります。しかし、低層階のほうが、虫との接触率が高くなります。マンション周辺に緑や水辺がある場合は、特に注意が必要です。
管理費や修繕積立金が高い
タワーマンションは共用施設やセキュリティが充実している分、管理費や修繕積立金は一般のマンションに比べて高額な傾向があります。大規模な修繕費用もかさみやすいため、修繕積立金も高額に設定されることがあります。これらの費用は所有者が毎月支払う必要があります。住まいに何を求めるか次第ではタワーマンションでないマンションの同じ階を選んだほうが良いこともあるでしょう。
まとめ
- タワマンの低階層は高階層と比べて価格・家賃が抑えられる
- 立地の良さ・施設の充実度はどの階層でも変わらない
- 災害や停電時に対応しやすい
- 眺望や騒音などで不満を感じる場合もある
- タワマン低階層に向いている人は眺望よりも立地や共用設備の良さを重視して、コストを抑えて手に入れたい人