
近年、マンション価格と土地価格は上昇傾向です。平均という意味では全体的に上がっていますが、一方で価値が下がり続けている物件も存在します。この記事ではいままで価値が下がらなかった物件、そしてこれからも価値が下がらないであろう物件の条件を検証していきます。
家の価値は土地と建物の組み合わせ

ここでいう「価値」とは一般的な市場価格です。市街地の会社に勤めておらず自然の多い環境に暮らしたいという人にとっては山奥のほうが充実した生活を送れますが、その不動産をいざ売ろうと考えたときに欲しがる人が多くなければ一般的な「価値」は低いという判定になります。
価値が下がりにくい土地の条件

不動産の価値は土地と建物の両方で決まります。注文住宅を建てる人は、建物が資産価値を決めるという錯覚を覚えがちですが、実際には土地も資産価値を決める重要な要素です。「価値が下がりにくい」という観点からすると、土地の方が重要性が高いといえます。
土地の価格は市況によって上下することがありますが、建物の価格は築年数の経過によって基本的に下落し続ける傾向があるからです。土地は景気が良い時には価格が上昇しますし、将来売却する際に価格が上がる可能性もありますが、逆に価格が下がる可能性もあります。
最寄り駅の価値
土地購入でまず意識したいのは、「最寄り駅」です。「良い立地」という言葉を耳にすることもあると思いますが、その印象は「最寄り駅」で大きく決まります。良い駅とは、例えば「他路線に乗り換え可能な駅」、「快速停車駅」、「本数の多い路線の駅」、「ターミナル駅」、「始発駅」などが挙げられます。このような駅であれば、駅から10分以上離れている場所でも、価格は比較的下がりにくくなります。
JR東日本が京葉線の通勤特快を廃止する発表をした際は、いままで快速線の恩恵を受けていた駅の価値が下がるということで、県知事や市長も反対するという大きなニュースとなりました。
また、周辺の再開発が進んでいる駅は今後価値があがるという見方をすることができますが、計画がおくれたり、中止になることも想定できるのでいくら専門家が話していたとしても噂を信じすぎないように注意が必要です。
多くの人は「良い立地」と聞くと「駅からの距離」を思い浮かべますが、それよりも「どの駅」かが重要です。良い駅の周辺は商業施設が充実しており、生活しやすい環境が整っています。良い駅の近くの土地は価格が下がりにくいため、土地選びは「駅選び」から始めることをおすすめします。
閑静な住宅街であり学区が良い
価値の下がりにくい土地を購入するには、学区が良い住宅街の物件を選ぶこともポイントです。各地域には、公立の小中学校でも評判の良い学校があります。学区の良いエリアには毎年その地域に引っ越してくる人が多く、安定した不動産需要があります。不景気になっても土地価格が下がりにくく、景気が上向くと真っ先に価格が上がるのが学区の良いエリアの特徴です。また、学区の良いエリアは閑静で住環境の優れた住宅街が多いです。暮らしやすい環境が整っているため、土地を選ぶ際は子供をその学区の学校に通わせるかどうかに関係なく、学区の良否を意識すると参考になるでしょう。
間口が広い南向き接道の土地
土地の場所ではなく、道路との位置関係も重要です。
間口が広く南向きに接道している土地を選ぶことがおすすめできます。間口が広い土地は、駐車場や門扉の配置がしやすく、設計の自由度が高まります。道路が南向きであれば、日当たりも良くなります。また、土地が道路から50cm~1m程度高い方が排水勾配を取りやすく、トイレやバスなどの配置が自由になります。さらに、前面道路に歩道があると、安全な生活がしやすくなります。
さらに良い土地の条件としては、角地があります。角地は日照や通風に優れ、中間画地(一面しか道路に接していない土地)よりも価値が高くなります。特に、南面と東面に接している「南東の角地」は最も価値が高いです。
価値が下がりにくい建物の条件

建物は老朽化していくため、新築された瞬間から築年数の経過に伴い価格が下落していきます。土地とは異なり、将来売却する際の価格が新築時より高額となることは極めて稀でしょう。
それでも、建物の価値を下げないために配慮できることがいくつかあります。
なお、価値が下がらないという点だけで言えば戸建てよりもマンションのほうが下がりづらいです。詳しくはこちら
少なくない部屋数
注文住宅を建てる際には、適切な部屋数を確保することが重要です。少なくとも3LDKを基本とし、余裕があれば4LDKが望ましいでしょう。中古の戸建て住宅を購入する人はファミリー世帯が多いため、必要な部屋数が揃っていないと、その時点で候補から外されることが多いです。子供部屋や夫婦の寝室といった基本的な部屋数が確保されていないと、売却が難しくなる場合があります。
さらに、最近ではリモートワークの普及により、仕事部屋を確保できる間取りの需要が増えています。子供が2人いる世帯の場合、3LDKだと仕事部屋が確保できないため、4LDKや書斎も追加するような間取りが求められます。自分での使いやすさのほうが大事なので無理に部屋数を増やす必要はありませんが、極端に部屋数が少ない家は売りにくくなることを意識しておきましょう。
標準的な延床面積
売りやすい物件とするには、標準的な面積を確保することがポイントです。戸建ての一般的な広さは、延床面積で30~35坪程度です。面積の狭い家は、売却時に需要者層の検討候補から外れる傾向があります。ファミリー層のニーズに応えるためにも、ある程度の広さを確保しておくことをおすすめします。
リビングが広い
リビングは広くすることが家づくりの基本です。リビングは日照条件の良い場所に配置し、広めに作っておくと売却時の家の印象が良くなります。リビングの広さは、目安として12畳以上が望ましいです。ただし、広すぎるリビングは空調が非効率になるため、逆効果となることもあります。適度な広さを保つことも意識しましょう。
住宅性能評価が高い
住宅展示場に出展している会社の建物であれば、ネームバリューや性能保証があるため、比較的価値が下がりにくい傾向にあります。
住宅性能、特に断熱性能を上げる取り組みが国を挙げて行われています。まだ日が浅い現状では、高い断熱性能をもった中古物件があまり市場に出回っていないので断言はできませんが、今後中古物件の購入者に重要視される要素になる可能性はあります。
単純に自分が住み続けるという視点で考えても、住宅性能評価が高いほうが快適な生活を送れます。
まとめ
注文住宅を建てる際は、完璧を求め過ぎないことも成功の秘訣です。優先順位を意識しつつ、許容できる範囲の中で少しずつ譲歩していくことも家づくりのコツといえます。何よりすべてを満たすには相応の資金が必要となります。
最寄り駅としてターミナル駅の価値は高いですが、その周辺は土地価格が高く購入しにくいことが多かったり、通勤や帰宅のピーク時は混雑のしすぎで身動きが取りづらかったりします。そのため、ターミナル駅から一駅離れた場所も検討してみると、購入しやすい土地が見つかることがあります。一駅の違いであれば、生活環境は大きく変わらないため、十分に許容できる範囲です。
また、建物についても、将来リフォームで改善できる部分であれば、最初から仕様を下げたものを選択するという考え方もあります。
完璧を求め過ぎると決断が難しくなるため、予算と折り合いをつけながら柔軟に検討していくことが大切です。
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