駐車場の経営は、管理の手間やコストがかかるため、売却を考える人もいるでしょう。しかし、初めての売却では、「どのように売却すればいいかわからない」「どれくらいの値段で売れるのか」「売却にどれくらいの期間がかかるのか」といった疑問が浮かぶものです。
本記事では、駐車場の売却方法や流れ、売却にかかる費用と税金についてわかりやすく解説します。記事の内容を参考にして、スムーズで満足のいく駐車場売却を目指しましょう。
駐車場の売り方の種類
駐車場の売却には、おもに3種類の方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、駐車場の立地条件や売却の期限など、状況に応じて最適な方法を選ぶ必要があります。
それぞれの方法について詳しく解説しますので、自分に合った売却方法を見つけましょう。
駐車場のまま売る
現状のままで売却を開始できるため、駐車場契約者の賃貸借契約を引き継ぐことが可能です。そのため、契約終了の告知や立ち退き交渉が不要で、手間がかかりません。
しかし、駐車場用地として売却する場合、購入希望者の層が限られるというデメリットがあります。土地を探している多くの人は居住用の宅地を求めており、事業用の駐車場を希望する購入者は少数です。そのため、購入希望者がなかなか現れない場合、結果として安値での取引や、売却期間が長期化するリスクがあります。
駅近で多くの需要が見込めるなどの明確な理由がない場合は、他の売却方法も検討すると良いでしょう。
更地にして売る
用途の選択肢が増え、買い手が見つかりやすくなります。ただし、売り出しまでに時間がかかる点がデメリットです。
駐車場を更地にして売り出すまでには、以下の過程が必要になります。
- 不動産会社へ査定の依頼をする
- 駐車場の解体費用の見積もりを依頼する
- 仲介業者・解体業者をそれぞれ決める
- 駐車場の契約者へ契約終了と立ち退きの交渉を行う
- 立ち退き後、解体工事を開始する
- 売り出しを開始する
駐車場の立ち退きは居住に関わる利用方法ではないため、法律的な期間の定めはなく、一方的な契約の解除も可能です。しかし、利用者への配慮やトラブル回避の観点から、立ち退きまでには1〜2ヵ月程度の猶予期間を設けるのが一般的です。
更地にする場合は、解体期間や立ち退き期間を加味して、予め売却計画を立てておくと良いでしょう。
駐車場として購入した買主がこの作業を行い他の用途で使用することもあるので、更地にするのにかかる手間の分販売価格が上がらないのなら、する必要はない作業です。
業者に買い取ってもらう
買取りの場合、不動産会社が駐車場を直接買い取ってくれるので、駐車場契約者との立退交渉は不要です。
また1週間〜1ヵ月程度の早期売却が可能で、余分なコストもかかりません。
つまり、先に述べた二つの方法と比べても最も効率的な売却方法です。
ただし買取りの場合は、安値での売却になりやすいです。
不動産会社が買い取った駐車場は、アパートや一戸建て住宅を建築したり、更地にしたりして販売を行います。
不動産会社は利益を出すためできるだけ安く仕入れたいと考えるでしょう。
どれくらい安値になるかは実際に不動産会社へ相談してみないとわかりませんが、目安は市場価格よりも2〜3割程度安くなると言われています。
駐車場を売る流れ
売却の流れを把握しておくことで、何をどのタイミングで行うかが明確になり、スムーズな取引が可能になります。
その結果、売却活動での失敗リスクも抑えられるでしょう。
駐車場の相場価格を調べる
駐車場を売る際には、まずどれくらいの価格で売却できるかを把握することが重要です。
不動産の価格は、立地するエリアや規模、建物がある場合はその構造や築年数など、さまざまな要因によって変わります。そのため、売却価格は自由に設定できますが、目安がなければ適正な価格がわからないでしょう。
そこで確認すべきなのが周辺の相場価格です。相場価格は、現在売り出されている類似物件や、すでに成約した物件の情報から把握できます。相場価格は売主だけでなく、買い手が購入を検討する際の判断基準にもなります。
相場価格を把握しておくことで、不動産会社が提示した査定額が適正かどうか判断でき、結果として損をするリスクや売却に手こずるリスクを軽減できます。
実際に相場価格を調べる際は、全国地価マップや不動産情報ライブラリなどを活用すると良いでしょう。
不動産会社に査定を依頼する
相場価格を把握したら、不動産会社へ査定を依頼しましょう。自分の想定した相場とかけ離れた額を提案された場合は高すぎても安すぎても注意が必要です。査定を通して、価格だけでなく、信用できる不動産会社なのかを見定める目的もあります。
不動産会社と契約し売却活動を開始する
依頼する不動産会社が決定したら媒介契約を交わします。詳しくはこちらをご参照ください。駐車場以外の不動産との違いはありません。
用途は決めない
売却活動では、用途を決めずに売り出すことが効果的です。駐車場として用途を限定してしまうと、投資目的で駐車場を購入したい人しか興味を持ちません。
立地や形状が特殊な土地でない限り、駐車場は住宅用地や店舗用の土地としても利用可能です。そのため、使用用途をこちらで定めずに「用途自由」として売却活動を進めることで、購入層が広がり、成約しやすくなります。
「用途自由」であることを記載して売却活動を進めてもらうよう、不動産会社の担当者に伝えると良いでしょう。
買主と売買契約を締結し引き渡す
購入希望者が見つかったら、いよいよ売買契約の締結です。
まず、価格や引渡し時期などを購入検討者と交渉し、双方が納得した条件が定まったら売買契約を締結します。購入希望者は少しでも安く手に入れたいと考えているため、値下げ交渉をされる可能性があることを予め想定しておきましょう。
不動産の取引では、売り出し価格から1割程度の値下げで成約に至るケースが多いです。そのため、売り出し価格は少し高めに設定しておくと、購入希望者の値下げ交渉にも対応しやすくなります。
駐車場の売却にかかる費用と税金
駐車場の売却には費用や税金がかかります。基本的には売却金額や手付金でこれらを支払うことが可能なので、多額の自己資金を準備する必要はありません。どのような費用や税金がどれくらいかかるのかを予め理解しておくことが重要です。
ここからは、駐車場の売却にかかる費用と税金について解説します。
詳しくはこちら
駐車場は空き地ではない
土地の売却の場合、基本的には消費税はかかりませんが、駐車場など施設利用の目的で使用されている土地を売却する場合には、建物と同等の扱いになり、消費税が発生します。この消費税の課税対象は、売却時に発生する譲渡所得の金額です。
駐車場を取得した際の費用を売却金額が上回らなければ、譲渡所得は発生せず、消費税も課税されません。
まとめ
駐車場の売却を成功させるためには、用途の選択や適切な売り出し価格の設定、最終的な売却益のイメージが必要です。これらの判断は一般の知識だけでは難しい場合が多いため、プロである不動産会社のノウハウに頼ることが重要です。
特に駐車場の売却が得意な不動産会社を見つけることができれば、安心して売却活動を進めることができるでしょう。駐車場の売却に強い不動産会社は、市場動向や適切な価格設定に精通しており、効果的なマーケティング手法を提供してくれる可能性があります。