親が住んでいた実家を相続したけれど、活用できずに空き家になっている、何年も前に買った別荘に行く機会もなくなり、空き家になっているという悩みを抱えている方は多いと思いますが、住まない空き家は今すぐ処分すべきといえます。
悩んでいる間にも空き家の劣化が進んでしまいますし、管理に行く手間や交通費、固定資産税も負担となります。
この記事では、使わない空き家の処理に困っている方向けに、損しないで空き家を処分するための最良の方法(流れ)を解説していきます。
空き家を処分する3つの方法
相続した空き家など、自分は住まない場合に悩むことが、空き家の処分方法です。
空き家の処分方法には、大きく分けて、売却・無償譲渡・有効活用の3つがあります。一般的には売却が選ばれることが多いですが、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあります。
売却する
ひとくちに「売却」といっても、いくつかの方法があります。
そのまま売却する場合、家の状態が良ければ「中古住宅」として、家が古くて住めない場合には「古家付き土地」として販売します。
家の状態がかなり劣化している場合は、家を解体して更地にし、土地として販売する方法もあります。またリフォームをしてから販売する方法もあります。これらの方法のほうが、早く売れる可能性が高いです。値段も高く売れますが、解体やリフォームにかけた費用分高くなるかどうかはわかりません。
また、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という方法もあります。買取を選ぶと、仲介売却で買い手が見つからないような物件でも販売できる可能性が高まりますが、販売価格が通常の5~8割程度に下がることが一般的です。
売却は、すぐに処分活動を開始できるのがメリットです。また契約が成立すれば対価として金銭が手に入ります。
買い手が見つからない場合に価値が下がり続けてしまったり、維持費が必要になることがデメリットです。
無償譲渡する
売却を試みたものの全く買い手が見つからないという場合には、第三者に無償譲渡する選択肢を考えるべきでしょう。望まずに相続した空き家であっても、不動産所有者には管理義務が発生するためです。
空き家は持っているだけで管理費や固定資産税がかかり、さらに草刈りや倒壊しないように管理する責任が発生します。「空き家が遠方で管理が大変」という方も、無償譲渡を検討してみると良いでしょう。
譲渡のメリットはそれ以上の出費と手間がなくなることです。
デメリットは文字通りの無償譲渡なので対価の金銭がゼロなことと、登記の処理をしっかり行わないと譲渡していないことになってしまうことです。トラブルにならないためには、譲渡自体は無償であるものの、最低限の費用がかかります。
有効活用する
土地を手放さず、解体やリノベーションをして、新たな用途を考えて有効活用する方法もあります。上手くすれば、駐車場収入や家賃収入など新たな収入源を確保できます。
経営がうまくいけば資産になりますし、失敗する可能性があることがそのままデメリットになります。
まずは相談する
空き家を処分する方法にはさまざまな選択肢がありますが、基本は「そのまま売却」する方法からスタートするのがベストです。
「更地にして売却」「リフォームして売却」「買取してもらう」という選択肢は、そのまま売却で買い手が見つからない場合に、次の選択肢として考えるべきです。
なぜなら、更地にしたからといって必ずしも有利な条件で売却できるとは限らないからです。逆に、解体費用を余計に支払うことになるかもしれません。解体費用は一般的な一軒家で約100万円と高額です。
どの方法が一番メリットが大きいかを判断するためには、プロである不動産会社に相談するのが最善です。まずは不動産会社に相談し、空き家の価格を査定してもらい、今後の方針を一緒に考えていくことがベストです。
いますぐ相談する
使っていない不動産はいますぐにでも処分に取り掛かることをおすすめします。理由は多数あります。
所有しているだけでお金がかかるため
所有しているだけでかかるお金には以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 火災保険・地震保険
- 管理費
- 光熱費
- 交通費
この中で最も大きいのは固定資産税です。物件によって金額は異なりますが、一戸建ての場合、年間の費用は10~15万円が目安です。さらに、長期間放置された空き家が「特定空き家」に指定されると、固定資産税が最大で6倍になるケースもあります。
管理費は、草むしりや虫よけや掃除にかかる費用全般です。電気や水道を解約しておかないと光熱費もかかり続けます。空き家が遠方にある場合は交通費も高額になります。
人のいない家は劣化が早いため
人が住んでいる家と空き家では、劣化のスピードが大きく異なります。住む人がいなくなると、家は急速に傷みやすくなります。特に、定期的な掃除や片付けが行われない空き家は、想像以上に早く劣化が進行してしまいます。
傷みやすくなる原因として、換気不足、害虫や害獣の被害、ホコリやサビの発生などが挙げられます。
家の劣化が進むと売却も難しくなりますので、劣化が進行する前に売却を検討することが賢明です。
近隣の迷惑になるため
空き家を放置すると、周辺住民に迷惑をかける可能性があります。
例えば、庭木が伸びすぎて隣の庭に侵入したり、ツタが生い茂って見た目が悪いとクレームを受けたり、不法投棄の対象になったりすることが考えられます。
さらに、最悪の場合、空き家が倒壊するリスクもあります。万が一、空き家が倒壊して近隣に迷惑をかけた場合、迷惑をかけた相手に損害賠償を支払う必要が生じるでしょう。
税制優遇が受けられるかもしれないため
空き家を放置せず、早く売却することで税制優遇を受けることができます。家を売却する際に利用できる2つの3000万円特別控除を活用すれば、売却益が3000万円までであれば税金がゼロになります。
ただし、この優遇措置には「住まなくなってから3年後の12月31日まで」や「相続開始から3年後の12月31日まで」という条件があります。つまり、空き家になってから(または相続してから)3年以内に売却することが、大幅な節税を可能にするための期限となります。
空き家の処分にかかる費用
処分にどのくらいの費用がかかるのかも確認していきます。
家財道具を処分する費用
空き家を処分する際には、まず家の中に残った家財道具一式を処分しなければなりません。売却する場合はもちろん、解体する場合でも解体工事会社は家財の処分をしてくれないことがほとんどです。
家財の量にもよりますが、一軒家の場合、専門会社に家財処分を依頼すると数十万円かかります。
解体する費用
空き家を解体する場合の費用は、1坪あたりでおおよその価格が計算できます。同じ大きさの建物でも、立地や使われている素材、老朽化度合いなどによって価格は前後しますが、数百万円かかります。
空き家の処分時に使える補助金
空き家の増加が社会問題となっている昨今、多くの自治体が空き家処分を促進するために補助金を提供しています。
上限金額や対象となる条件は自治体によって異なり、空き家を解体する前に申請する必要があるタイプも多いので、詳細は各自治体の窓口で確認するとよいでしょう。
まとめ
空き家の処分方法は様々に考えられますが、最も理想的な処分方法は、一番高く売却できる「仲介売却」です。しかし、仲介売却でなかなか売れない場合は、更地にして土地として販売したり、直接買取を依頼したりする選択肢も検討することが重要です。
使わない不動産は所有していても損失しか生まないので、悩んでいる場合はすぐに行動に移すとよいでしょう。場合によっては、最善を尽くしても出ていくお金ばかりで、入ってくるお金がまったくないと想定されることもあります。しかし、それが嫌で放置してしまうとそれ以上にお金が出ていくことになりかねないので、相談を早めに行うことをおすすめします。
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