狭小地の住宅は何が問題か

「狭小地」という言葉からは、不便で使いにくいイメージがあるかもしれませんが、3階建ての住宅が建っている場合にはマンションよりも専有面積が広くとれることも多いです。都心部では一般的な住宅であり、快適に暮らせるポイントもたくさん揃っています。しかし、一見しただけではわからない大きな問題点があり、その問題を回避する方法もまた存在します。

今回は、狭小地に建つ住宅のメリット・明らかなデメリット・意外なデメリット・デメリットの回避方法について紹介していきます。

狭小地とは

法律的に狭小地の基準となるものはありませんが、今回は50~70平方メートル(約15~20坪)を想定しています。新しく土地を分筆する場合、自治体によって最低敷地面積が異なりますが、60~100平方メートル以下には分割できないことが多いです。

狭小地は、もともと小さい土地だったこと以外に、相続で分筆されたケースと、不動産会社が売るために小分けにしたケースが存在します。実際には相続後不動産会社に売られたあとで分割されることが多いでしょう。都心部の地価は高騰しているので、サイズが大きすぎると買い手がつきません。120平方メートルを1億円で売るよりも60平方メートルを6000万円で2つ売るほうが、売りやすい上に不動産屋の利益も出るということです。

狭小住宅のメリット

狭小であること自体のメリットは多くありません。好立地であることが条件になることが多いですがメリットを挙げていきます。

利便性の高い都心に住める

狭小住宅は、比較的便利な都市部でも手の届きやすい価格で購入できることが多いです。「どうしても広い一軒家がいい」という特別なこだわりがない限り、都心にマイホームを持てるのは大きなメリットです。通勤場所に近い、交通アクセスが充実しているなど、立地の利便性を重視するなら、狭小住宅はおすすめです。

価格を抑えて土地が所有できる

狭小住宅では土地の価格が低いため、購入費用を抑えやすいというメリットがあります。さらに、交通網や商業施設が発達した立地に住むことで、車を持たずに生活することも可能です。これにより、維持費やガソリン代といったコストを削減できるため、実は経済的におトクに暮らせるのも狭小住宅の利点です。車をもつ場合も駐車場代がかからないので月々にかかる費用を削減できます。

税金を抑えられる

狭小地は土地が小さいため、固定資産税評価額も小さくなります。これにより、毎年納める固定資産税や都市計画税、不動産購入時の不動産取得税や登録免許税が抑えられます。

都市部や駅近の物件を購入すると多くの税金を納める必要がありますが、狭小地であればそのようなコストも抑えやすくなります。また、同じエリアで同じ面積の土地がある場合、税金の計算上、不整形地の評価額の方が小さくなるため、さらに税負担が軽減されるでしょう。

老後は掃除や管理が楽

家が広ければ生活スペースを確保しやすい反面、維持するのは大変です。狭小住宅なら空間が限られているため、掃除する場所が少なくて済むのが大きな利点です。広い庭があると雑草や枯れ葉の掃除、芝生の手入れなど管理の負担が増えますが、狭小住宅ならその心配もありません。

部屋数の多い一軒家を購入すると、子どもが成人して独立した際に間取りを持て余すことがあります。家が広いと不要な荷物をため込みやすく、後で整理が難しくなることもあります。

老後の生活を考えると、あらかじめ狭小住宅を選んで余計なスペースを省くことで、コンパクトな暮らしに適応しやすくなります。住まいが小さい分、生活空間がまとまりやすく、高齢になっても家を維持しやすいというメリットもあります。

しかし、階段の行き来も難しくなってしまうと考えると、狭小の3階建ては必ずしも管理が楽とは言えなくなります。

築古の家より性能が高い

狭小建売住宅は断熱性能が低いという話がよくあります。現在許されてる最低限の性能で建てられていることは否定できません。しかし、それでも最新の基準は満たしているので、築古の住宅よりは性能が高いです。

狭小住宅の明らかなデメリット

狭小住宅を買おうという方が、わかっているであろうデメリットを再確認します。

狭い

狭小住宅では、3階建てにするなど縦の空間を活用できますが、各フロアの物理的な面積は小さくなります。お子さんがいる場合、小さいうちは気にならなくても、成長するにつれて窮屈に感じる可能性があります。また、駐車場を設ける場合は、1階のスペースを部分的に車庫にするビルトインガレージの形式がよく見られます。これにより、駐車が難しかったり、荷物の出し入れが面倒だったりすることがあり、車庫のスペースが限られるため不便に感じることもあります。

収納が足りない

狭小住宅では部屋ごとの空間が狭いため大きな収納スペースを確保するのが難しい場合があります。そのため、各部屋の収納機能が限られ、別途収納棚を用意する必要が生じたりすることがあります。

大きな棚を用意すると部屋が狭くなってしまうので、壁かけラックなどを活用している例もあるようです。

狭小住宅の気づきにくいデメリット

実際に使用してみて初めて気づく欠点としてあげられることが多い箇所です。

生活動線が悪い

一軒の中に生活に必要な設備はそろっているものの、狭小住宅では少し複雑な構造になっていることが多いです。例えば、掃除機をかける際に上下階を行き来する必要があったり、水回りが別のフロアに分かれていたりします。また、各部屋の移動ルートやトイレの位置など、住んでみると意外と細かな不便さが気になることもあります。建売住宅などで既に設計が決まっている場合は、この点に注意が必要です。

建て替えや修復が難しい

狭小地の特性上、前面道路の幅が4mに満たないことがあり、その場合、重機が入れないため人力で作業する必要があります。多くの人手が必要になるうえ、工期も長くなるため、その分の人件費が増えてしまいます。

また、隣家との距離が近く足場を作りにくい場合もあります。その結果、建築時や外壁塗装、屋根の修繕などで通常よりも費用がかかる可能性が高くなります。

デメリットを回避する方法

多くの問題点がありますが、それを問題にしない方法も存在します。

住宅の価値が下がる前に売却する

狭小建売するメーカーは通常の住宅メーカーと比較して劣化するまでの期間がとても短いです。木造住宅の法定耐用年数は22年に設定されていて特別長くはありませんが、通常の住宅メーカーの場合22年を超えても問題なく住み続けられます。対して、狭小建売を主とするメーカーは最低限保証期間の10年もてばよいという発想で作られるため限界が来るのが早いです。

しかし、土地の価値は大きく変わらないと想定されるため、終の棲家とせず、建物の価値が下がりきる前に売却すれば月々の負担は少なく、購入時よりも高価格で売却できれば利益を得られる可能性もあります。

狭小住宅を購入したい・売却したい方はぜひご相談ください。

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