失敗しない! マンション売却の流れ

マンションの売却を成功させるためには、売主自身が売却手順や相場価格をよく把握することが重要です。売却活動に必要な知識を身につけ、信頼できる不動産会社を選ぶことで、計画的に行動することができ、成功の確率をあげられます。この記事では、マンションの売却手続きの流れや売却期間や価格の基準、成功へのヒントについて詳しく解説しています。

  1. 不動産売却の流れ
    1. 売却を検討しているマンションの相場をチェックする
    2. 不動産会社に簡易査定を依頼する
    3. 不動産会社に訪問査定を依頼する
    4. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
    5. マンションの売出価格を決める
    6. マンションの売却活動を行う
    7. 購入者と売買契約を結ぶ
    8. 決済をして、マンションを引き渡す
    9. 確定申告をして税金を納める
  2. マンションを売却したときかかる税金と適用される制度
  3. マンションの売却に必要な費用
    1. 仲介手数料
    2. 印紙税
    3. 登記にかかる費用
    4. 所得税
  4. マンション売却の注意点
    1. 売却にかける期間とタイミングを決める
    2. 査定価格と住宅ローンの状況を確認する
    3. 信頼できる不動産会社に依頼する
    4. 瑕疵担保責任を負わないように対応する
    5. 売却後は確定申告を忘れずに行う
  5. マンションの売却にかかる期間と価格
  6. マンション売却のコツ
    1. 適正な価格で売り出しをする
    2. 不動産会社による買取を検討する
  7. マンションを高く売るコツ
    1. 不動産価格が上がっているときは新居購入後に売却する
    2. マンション売却が得意な不動産会社を選ぶ
    3. 知識や経験の豊富な担当者に売却を依頼する
    4. 査定価格が高すぎる不動産会社は選ばない
    5. マンション売却の依頼は専任媒介が一般的
    6. 査定価格より少し高めの価格で売り出す
  8. 実際に高く売れたケース
    1. 早さと高さは両立しない
    2. 築年数が経過した中古マンションでも売れる?
    3. マンション売却のベストタイミング
  9. まとめ

不動産売却の流れ

マンション以外でも不動産売却手続きの流れは変わりません。詳しくは→物件を売却する流れ

今回はマンションを売却する際には特に何に注意すればいいかという観点でまとめていきます。

特に自分たちだけではなく、相手方とやり取りする必要がある部分を抜き出すと、

簡易査定の依頼→訪問査定の依頼→不動産会社の決定・媒介契約の締結→購入希望者の内見対応・価格や条件の変更→売却契約の締結→売却後の引き渡し→確定申告やそれに関連する手続き

になります順番に見ていきます。

最初に、不動産会社にマンションの価格査定を依頼する前に、周辺相場を不動産情報サイトなどで調査します。相場を把握したら、査定を依頼する会社を絞り込みます。

査定の結果を受けて、媒介契約を結ぶ不動産会社を決定し、売却活動を開始します。売却活動の進行中には、物件の内覧を行ったり、必要に応じて売出価格を見直したりすることがあります。

買主が見つかったら、売買契約を締結し、残代金を受け取って鍵を引き渡します。引き渡しが完了したら、翌年に譲渡所得を申告して納税し、売却手続きは完了です。

売却を検討しているマンションの相場をチェックする

マンションを売却する際には、まず不動産会社に査定してもらう必要があります。ただし、最初から不動産会社に依頼する前に、周辺のマンション売却価格の相場を自分で調べることをおすすめします。これによって、不動産会社の査定説明をより理解しやすくすることができます。

マンションの相場を確認するには、インターネットの物件情報サイトを利用して、同じ地域や広さ、築年数などの条件が近いマンションの売出価格を調べます。大規模マンションでは、同じ建物内や同じ最寄駅周辺の物件も比較対象になります。ただし、注意が必要なのは、掲載されている価格は実際に売れた価格ではなく、売り出し価格であることです。実際に売れた価格を知りたい場合には、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」が参考になります。

不動産会社に簡易査定を依頼する

周辺のマンション相場を把握したら、次に不動産会社に簡易査定をリクエストします。この査定は、物件の住所や築年数、間取り、広さなどの限られた情報を元に行われ、一般的にはインターネットなどを通じて手軽に依頼できます。査定結果は通常、2〜5営業日で提供されますが、査定価格と実際の取引価格との間には差が生じやすいことを留意する必要があります。

不動産会社によって査定価格が異なるため、複数社に依頼し比較することが重要です。極端に高すぎたり低すぎたりする査定を提示する会社は信頼性が疑わしいため、そのような場合は候補から外すべきです。最低でも4〜5社に簡易査定を依頼し、査定価格を比較・検討してから、不動産会社を選定するようにしましょう。

不動産会社に訪問査定を依頼する

簡易査定で複数の不動産会社から査定価格が提示されたら、金額の適正性や担当者の対応などを基準に、さらに3社程度に絞って訪問査定を依頼します。訪問査定は、不動産会社の担当者が実際にマンションを訪問し、建物の状態や周辺環境などを調査し、詳細な査定額を提供するものです。

訪問査定では、建物の内外装の状態や設備の状況、周辺環境の確認に加えて、共用部分や管理状況なども調査されます。このように詳細な情報をもとに査定が行われるため、通常は1週間から10日間程度の時間がかかります。

不動産会社から提示された査定価格を比較・検討した後、売却を依頼する不動産会社を決定します。この際には価格だけでなく、担当者の説明や対応なども総合的に考慮して判断することが重要です。

不動産会社と媒介契約を結ぶ

くわしくは→不動産媒介契約3種類の違いとは

コツの部分で後述しますが、マンション売却時は専任媒介契約で行うことが一般的です。

マンションの売出価格を決める

不動産会社との媒介契約を結び、マンションの売却活動を開始する際には、まず売出価格を決定する必要があります。不動産会社が提示する査定価格は、「この価格なら売れるだろう」と予測される価格です。確実に売れる価格を設定することで、買主を迅速に見つける可能性が高まります。

ただし、多くの売主はできるだけ高く売りたいと考えるため、査定価格よりもやや高い価格で売り出されることが一般的です。適切な上乗せ額は相場や売却希望期間などによって異なるため、不動産会社と相談しながら決定しましょう。

マンションの売却活動を行う

売出価格が確定したら、売却活動の始まりです。広告や購入者への対応など、売却活動自体は不動産会社の役割ですが、売主としての役割はマンションの内覧に向けた準備です。

売却活動中には、不動産会社や他の代理店が購入者を案内して内覧を行います。内覧に備えて、マンションを整えることが重要です。掃除や整理整頓を行い、清潔感を保ち、広く見せることで印象を良くすることができます。また、ハウスクリーニングやホームステージングの専門家に依頼することも有効ですが、費用はかかります。

ただし、リフォームについては慎重に判断する必要があります。内装や設備を更新することでマンションの魅力を高めることができますが、費用を考慮してリフォームの必要性を検討することが大切です。

売却活動が進んでも買主が見つからない場合は、価格の見直しを検討する必要があります。1〜2カ月経過しても買主が見つからない場合は、価格の見直しを検討しましょう。

購入者と売買契約を結ぶ

売却活動の結果、購入希望者が現れた場合、不動産会社から売主に購入申込書が送付されます。この購入申込書は商習慣上のものであり、法的な効力はありませんが、購入希望者が望む条件が記載されています。購入希望者から提示された条件を確認し、売出価格との差異があれば、不動産会社の担当者と協議して価格交渉を行います。

価格交渉では、互いの希望を出し合い、妥協点を見つけることが重要です。値引き交渉だけでなく、引き渡し時期やその他条件についても話し合います。交渉が成立したら、不動産会社を介して売渡承諾書を送付し、売買契約に進みます。

売買契約では、本人確認資料や実印、印鑑証明書などの書類が必要です。また、マンションの共有者が複数いる場合は、全員の実印と印鑑証明書も必要です。さらに、登記済権利証や登記識別情報通知書などの書類も準備します。住宅ローンが残っている場合は、抵当権抹消登記や所有権移転の手続きも行います。

売買契約時には、仲介手数料の半額を不動産会社に支払うことが一般的です。

決済をして、マンションを引き渡す

買主と売買契約を締結したら、売却したマンションを買主に引き渡します。買主が住宅ローンを利用する場合は、住宅ローンの受け渡し日を考慮して引き渡し日を決定します。この引き渡し日は、不動産会社を通じて調整することが可能です。また、住宅ローンの残債がある場合は、売主側も抵当権の抹消を金融機関に申し入れるなどの準備が必要です。

住宅ローンを利用する場合、借り入れ手続きは銀行の営業時間内に行われます。引き渡しの当日には、買主が銀行に行き、住宅ローンの実行をして残代金を売主に支払います。売主はその支払いを受けて残っている住宅ローンを完済します。その後、売主の抵当権の抹消と、買主への所有権の移転の登記手続きを司法書士に依頼します。さらに、マンションの鍵や書類を買主に引き渡し、最後に不動産会社に残りの仲介手数料(通常は半額)を支払って手続きが完了します。

確定申告をして税金を納める

マンションの売却によって発生した売却益は、所得税の対象となりますので、翌年に確定申告が必要です。

譲渡所得にかかる課税は、給与所得など他の所得とは独立しており、独自の税率が適用されます。この税率はマンションの所有期間によって異なり、5年以下の「短期譲渡所得」は39.63%(住民税や復興特別所得税を含む)、5年を超える「長期譲渡所得」は20.315%となります。

ただし、自宅マンションの売却に関しては、特別な措置があります。たとえば、3000万円までの譲渡所得については税金がかからない「3000万円特別控除」や、新たな住宅を購入する場合に課税を延期できる「買換え特例」が適用されることがあります。また、売却によって損失が出た場合には、通算4年分の他の所得と相殺して税額を軽減できる「譲渡損失の繰越控除」も適用されます。

マンションを売却したときかかる税金と適用される制度

譲渡所得課税
不動産の売却益に対して所得税と住民税が課税されます。所有期間が5年以下の短期譲渡所得には39.63%、5年以上の長期譲渡所得には20.315%の税率が適用されます。

3000万円特別控除
自宅のマンションを売却した際に、譲渡所得から最大で3000万円を控除できます。この特例は3年に1度のみ利用可能であり、住宅ローン控除との併用はできません。

買換え特例
自宅のマンションを売却して買い替えた場合、譲渡所得のうち買い替え先の住宅の代金相当額まで課税を繰り延べることができます。ただし、この特例も住宅ローン控除との併用は認められていません。

譲渡損失の繰越控除
自宅のマンションを売却して損失が出た場合に、売却年から最大4年間の間に発生した損失額を繰越して次の年の所得から控除することができます。この控除が終了した後は、住宅ローン控除を適用することが可能です。

マンションの売却に必要な費用

マンションを売却する際には、売却代金が手元に残るわけではありません。売却には仲介手数料や印紙税、所得税などの税金、登記費用などの費用がかかります。これらの費用は売却予定額からあらかじめ計算できるため、事前に計算して考慮に入れておくことが重要です。そうすることで、売却後の資金管理もスムーズに行えます。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産会社との媒介契約に基づき、マンションの売買取引が成立した場合に支払う手数料です。売却が成立しない場合は発生しません。あまり媒介手数料と言われることはありません。

この手数料の金額は宅地建物取引業法によって上限が定められており、不動産会社はその範囲内で金額を設定します。売主が支払う場合、売却額が400万円以下の場合は「18万円 + 消費税」、400万円を超える場合は「売却額(消費税抜き)×3%+6万円+消費税」となります。

例えば、3000万円の売却額の場合は消費税込みで105万6000円、5000万円の場合は消費税込みで171万6000円の仲介手数料が発生します。通常は売買成立時に全額を支払うのではなく、契約時に半額を支払い、物件引き渡し時に残りの半額を支払うのが一般的です。

印紙税

印紙税は不動産の売買契約書作成に必要な税金で、売買代金によって金額が変わります。売買代金が1万円を超える場合、売買契約書に収入印紙を貼付する必要があります。代金が高いほど印紙税額も高くなります。

2014年から2024年3月31日までの契約では、軽減税率が適用されます。例えば、売買代金が1000万円超5000万円以下の場合、本則税率の2万円から軽減税率の1万円に、5000万円超1億円以下の場合、本則税率の6万円から軽減税率の3万円になります。

売買契約書は売主と買主がそれぞれ1通ずつ保管するため、売主と買主がそれぞれ1通分の印紙税額を負担します。

登記にかかる費用

住宅ローンが残っている場合、売却前にはまずローンを完済し、その後抵当権の抹消手続きを行います。この手続きにかかる費用が登記費用です。登記には司法書士による手続きが一般的で、その費用には「登録免許税」と「司法書士への報酬」が含まれます。

司法書士による報酬の金額は異なりますが、通常1万円から3万円程度が目安とされます。自分で登記手続きを行う場合は、司法書士に報酬を支払う必要はありません。抵当権抹消登記には必ず1000円の登録免許税が必要であり、土地と建物それぞれに1000円ずつの合計2000円が必要です。

所得税

マンションの売却によってプラスの譲渡所得が生じた場合、所得税を支払う必要があります。譲渡所得は、「収入金額(売却額)-取得費-譲渡費用」で算出されます。

取得費は、マンションを購入する際の価格とそれに関連する費用の合計であり、建物の場合は購入価格から減価償却費を差し引いて算出します。譲渡費用には、仲介手数料や登記費用などの売却に関連する費用が含まれます。所得税の額は、譲渡所得に適用される税率を掛けて計算され、「所得税=譲渡所得×税率」の式で求められます。所得税率はマンションの所有期間によって異なります。

マンション売却の注意点

マンションの売却は、売却額の査定から媒介契約、売買契約など、様々な手続きが必要です。スムーズに進めるためには、売却のタイミングを計画し、査定価格や残債などの事前確認を行うことが肝要です。

売却にかける期間とタイミングを決める

不動産の売却には通常、3カ月から6カ月程度の時間が必要とされています。需要が低い時期にはこの期間が延びることもあります。中古マンションの市場が活発になるのは通常2月から3月であり、需要が高まるこの時期に売却するのが理想的です。

売却のタイミングを選ぶ際には、査定の依頼や不動産会社との契約を早めに行うことが肝心です。また、売却するマンションに現在住んでいる場合は、引越し先を確保する必要もあります。売却準備を始めるのは、10月頃からが適切であり、これにより高値での売却や円滑な取引が促進されるでしょう。

査定価格と住宅ローンの状況を確認する

マンションのローンが完済されていない場合、抵当権が設定されたままであり、その状態では売却することはできません。しかし、マンションの売却代金を使ってローンの残債を一括返済することで抵当権を抹消し、売却が可能になります。

ただし、売却代金がローン残債をまかなえない場合は、残りの金額を自己資金から返済する必要があります。ローンの残債がある場合は、売却代金だけで返済できるかどうか、自己資金が十分かどうかなど、完済の可能性を事前に確認することが重要です。残債の確認は、金融機関のウェブサイトなどを通じて行うことができます。

信頼できる不動産会社に依頼する

不動産会社を選ぶ際には慎重な検討が必要です。まずは複数の不動産会社にマンションの査定を依頼し、それぞれの査定額を比較します。極端に高額な査定額を提示する会社には注意が必要です。なぜなら、このような会社は高い査定額で売主を引きつけ、契約を結ばせることを目的としている可能性があります。

信頼できる不動産会社を選ぶためには、営業担当者の経験や査定の基準などを確認することが重要です。不動産会社の取引実績や口コミをインターネットで調べることも有益です。また、不動産業者の宅地建物取引業の免許番号を確認することもおすすめです。この番号の数字が大きいほど、不動産業務における経験が豊富であることを示しています。

瑕疵担保責任を負わないように対応する

不動産売買において、売主は「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」を負うことが規定されています。これは、売買後に不動産に傷や欠陥が見つかった場合に、売主が責任を負うというものです。2020年4月の改正民法により、この内容は一部変更され、名称も「契約不適合責任」となりましたが、依然として一般的には瑕疵担保責任と呼ばれています。

マンションの売却後に、買主が事前に通知されていない建物の欠陥に一定期間内に気づいた場合、それが「瑕疵」と見なされ、売主は責任を負うことになります。この場合、買主は損害賠償請求や代金減額請求、追完請求、契約解除などの措置をとる可能性があります。トラブルを回避するためには、売買前に建物の調査を受けるか、気になる箇所があれば不動産会社に相談するなどの対策が必要です。

売却後は確定申告を忘れずに行う

マンションを売却し、利益が生じた場合には、確定申告を行い所得税を納める必要があります。確定申告を怠ると延滞税や無申告税、重加算税などが課される可能性があります。また、自宅売却時に適用される「居住用財産の3000万円特別控除」などの特別控除を受けるためにも、確定申告が必要です。

一方で、売却益が生じなかった場合は確定申告が必要ありません。ただし、売却時に譲渡損失が生じた場合は、特例が適用され、これまで支払った所得税が還付されることがあります。そのため、申告の必要がなくても、確定申告を行うことで税金の還付を受けることができます。

マンションの売却にかかる期間と価格

首都圏のマンション売却に関するデータを見ると、マンション売買にかかる期間の平均は約3カ月、そして8割以上が6カ月までに成約しています。最初の媒介契約の期限が3カ月であるため、買い手が見つからない場合契約更新のタイミングで条件を見直し、次の3カ月で買い手が見つかったり、急いで売りたい場合に不動産会社が買い取ったりしていると読み取ることができます。

売出価格と取引価格とはいずれも2013年から上昇傾向です。

マンション売却のコツ

マンションの売却は一度の媒介契約期間内の3カ月前後を目安としています。売出し後、3カ月以内に契約を締結することが目標とされます。売却プロセスをスムーズに進めるためにも、早めに売出しを始め、適切な価格設定を行うことが肝要です。また、売却を急ぐ場合には、買取オプションを検討することも有益です。

適正な価格で売り出しをする

個人で適正価格を判断するのは難しいため、売出価格の設定には信頼できる不動産会社のアドバイスが重要です。マンションの売却に精通した不動産会社に査定を依頼し、価格設定の根拠や内覧のアドバイスなど、明確な説明をしてくれる会社を選ぶことが重要です。

不動産会社による買取を検討する

「買取」とは、不動産会社が買主となって直接マンションを購入する方法です。通常の仲介手続きを経ずに即座に売却が完了するため、売主が急いで現金を必要とする場合や、売却手続きをスムーズに進めたい場合に選択されます。

買取の利点としては、仲介手数料がかからないことや、売主が契約不適合責任から免れることがあります。また、売主の希望に応じた引っ越し時期が実現しやすいことも挙げられます。しかし、買取価格は一般的に仲介で売る場合よりも低くなる傾向があります。その理由は、不動産会社がリフォームや再販を見込んで買取するため、価格に余裕を持っていることが多いからです。

早く売るコツであって、高く売るコツではないです。

仲介
〈メリット〉
・相場価格で売ることができる
・じっくり時間をかけて売却できる
〈デメリット〉
・希望期間中に売却できないリスクがある
・仲介手数料がかかる
・自宅の内覧などの手間がかかる

買取
〈メリット〉
・希望する時期に確実に売却できる
・仲介手数料がかからない
・内覧が不要なので自宅を片付けなくてよい
〈デメリット〉
・相場価格より低めの価格で売却することになる
・高めの価格で売るチャンスがなくなる

マンションを高く売るコツ

マンションをより高値で売却するためには、いくつかのコツがあります。それには、不動産市場の動向を注視し、売り時と買い時を見極めることや、マンション売却に精通した不動産会社や担当者を選ぶこと、媒介契約に関して慎重に考えることなどが挙げられます。

不動産価格が上がっているときは新居購入後に売却する

マンションの売却と新居の購入のタイミングは、多くの人が悩む問題です。この問題には、「売り先行」と「買い先行」という2つの選択肢があります。

マンションを高値で売るためのコツの1つは、「不動産価格が上昇しているときは買い先行を選ぶ」ということです。なぜなら、価格が上昇しているときは、売るタイミングを遅らせればより高く売れる可能性が高まるからです。逆に、価格が下降している場合は、売り先行にすることで高く売ることができるかもしれません。

ただし、市場の動向を読むことは容易ではありません。価格が上昇していると判断しても、いつ下落し始めるかは予測が難しいです。価格の動向を判断する際には、不動産会社の意見も参考にすることが重要です。

売り先行と買い先行にはそれぞれメリットとデメリットがあります。売り先行の場合、売却資金を手に入れてから購入するため、新居の予算を立てやすくなります。一方、買い先行の場合は、新居に引っ越してから売却できるので、売却後に仮住まいする必要がなくなります。

「売り先行」と「買い先行」のメリット・デメリット

売り先行
〈メリット〉
・売却価格が決まるので新居の購入予算を確定できる
・売り急いで値下げなどをする必要がない
〈デメリット〉
・新居を買うまでの間、家賃負担が発生する
・新居をじっくり探す余裕がなくなる場合も

買い先行
〈メリット〉
・新居をじっくり探してから売却できる
・売却後に仮住まいの家賃負担が発生しない
〈デメリット〉
・売却価格が未定なので新居の購入予算を決めにくい
・売り急いで値下げせざるを得なくなるリスクがある

マンション売却が得意な不動産会社を選ぶ

不動産会社にもさまざまなタイプがあります。大手不動産会社は新築マンションの分譲を手がけることが多いですし、●●不動産販売のような社名の会社は仲介不動産会社です。また、賃貸専門の会社や一戸建てを主に扱う会社もあります。

マンションの売却を考える際には、得意な分野を持つ不動産会社を選ぶことが重要です。公式サイトや口コミを参考にして、マンションの売却経験が豊富な会社かどうかを確認します。

不動産会社が得意とするエリアも重要です。売却物件のあるエリアに強い会社を選ぶことで、買主探しや売却手続きがスムーズに進むでしょう。扱う物件のタイプも確認し、自分の物件と合致しているかを見極めることが大切です。

また、同じ会社でも売主の物件を扱う場合と買主への紹介が中心の場合があります。売主が多ければ、売却の経験が豊富な可能性が高く、会社の得意分野を見極めるポイントになります。不動産会社とのコミュニケーションを通じて、売却や購入の得意分野を把握しましょう。

知識や経験の豊富な担当者に売却を依頼する

マンションの売却において担当者の役割は非常に重要です。まず、価格査定を通じて売出価格を決定する際に、担当者から周辺相場や市況の情報を得ることが重要です。

売却活動中は、担当者が広告やチラシを用いて告知し、購入希望者を探し出し、内覧時に物件案内を行います。また、価格の見直しや交渉、引き渡し時期の調整など、売却に関する重要な業務を担当者が行います。

マンションを高く売るためのコツの一つは、マンション売却の知識や経験が豊富な不動産会社の担当者に依頼することです。しかし、会社の得意分野であっても、担当者個々のスキルや経験にはばらつきがあります。

信頼できない担当者に売却を任せるのはリスクが高いため、そのような場合は別の担当者に変更を要求するか、別の不動産会社に売却を検討することが賢明です。

査定価格が高すぎる不動産会社は選ばない

マンションの売却は、まず価格査定から始まります。複数の不動産会社に簡易査定を依頼し、その後、数社を選んで訪問査定を受けます。

査定価格は会社によって異なりますが、高額の査定を出す会社が選ばれがちです。しかし、査定価格が高いからといって必ずしもその会社を選ぶべきではありません。高額の査定が出されることで売主が選びやすくなるという戦略もあるため、実際の相場から大きく外れた高額査定を提案する会社も存在します。

そのため、査定価格だけでなく、その根拠や理由もよく説明してもらうことが重要です。最近の取引価格や周辺相場の動向などを根拠とした明確な説明をしてくれる会社は信頼できる可能性が高く、逆にあいまいな説明をする会社は信頼性が低いと考えられます。

マンション売却の依頼は専任媒介が一般的

不動産会社にマンションの売却を依頼する際は、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には「一般媒介契約」と「専任媒介契約(専属専任媒介契約も含む)」があります。

一般媒介契約と専任媒介契約の大きな違いは、一般媒介契約では複数の不動産会社と同時に契約できるのに対し、専任媒介契約では1社のみと契約する点です。不動産会社にとって、専任媒介契約を結ぶことは、マンション売却時に確実に仲介手数料を受け取れるというメリットがあります。そのため、不動産会社に売却を依頼する場合、専任媒介契約を求められることが一般的です。

売主にとっても、専任媒介契約を結ぶことで、不動産会社がマンションの売却活動に専念するため、早く高値で売却できるという期待が持てます。専任媒介契約では、物件情報を不動産流通機構(レインズ)に登録する義務があり、多くの不動産会社から購入希望者の情報を得られるのもメリットです。

しかし、専任媒介契約では1社の不動産会社としか契約できず、契約期間中は他の不動産会社に依頼することができません。そのため、契約した会社の売却活動に依存することになります。

一方、一般媒介契約では複数の不動産会社と同時に契約できるため、購入希望者を見つけるチャンスが広がります。また、相場が上昇しているときには各社間の競争により高値で売れる可能性が高まります。

どちらの媒介契約を選ぶかは、それぞれのメリットとデメリットをよく理解した上で決めるようにしましょう。

媒介契約の種類→不動産媒介契約3種類の違いとは

査定価格より少し高めの価格で売り出す

最後のコツは、適度に高めの値付けをすることです。ただし、あまりにも高すぎる価格設定は、購入希望者が現れず、売却に時間がかかるリスクがあります。無理のない「少し高め」程度の価格設定が効果的です。

「少し高め」とは、マンションの条件や価格帯、相場の動向により異なります。例えば、眺望が良いなどの希少価値があるマンションであれば、高めの価格でも売り出せます。相場が上昇傾向にある場合、高めの値付けでもすぐに売れる可能性が高いです。しかし、相場が下落傾向にあるときに高めの値付けをすると、売れにくくなります。この判断は難しいため、最終的な価格は不動産会社の担当者に相談して決めるのが賢明です。

適切な売却活動を行っても買い手が見つからない場合、価格の見直しが必要です。価格を下げる際には、少しずつ小刻みに下げると「まだ下がるのでは?」と疑われてしまうことがあります。そのため、一度にまとまった金額を下げることが効果的です。この方法により、値下げ後にすぐに購入検討者が現れ、売却に至ることが少なくありません。

どの時期に見直しを行い、どのくらい価格を下げるべきかについても、不動産会社の担当者に相談し、売れやすい方法を選びましょう。

実際に高く売れたケース

早さと高さは両立しない

マンションの売却で利益を得た人は、高額で売るためのコツを押さえて売却活動を行っています。まずは過去の売却事例や相場を調べておくことで、不動産会社の査定が妥当かどうかを判断できます。これにより、不動産会社選びや適正な売出価格の設定に役立ちます。

マンション売却にかかる期間の平均は約3カ月です。高く売れたケースでは、売却期間を3カ月以上に設定し、高く売れやすい時期に焦らずゆとりを持って売却活動を行うことが多いです。急いで売却すると、宣伝が不十分になり、早く売るために売出価格を下げる必要が出てきて、高く買ってもらえる買主を見つけにくくなります。

物件の内覧で購入希望者に好印象を残す工夫も、高額で売却するための重要なコツのひとつです。内覧者が家の中を気に入ってくれれば、値下げ交渉なしで売却できる可能性が高まります。具体的には、水回りを中心に掃除を徹底し、不要なものや家具を処分して部屋を広く見せるなどの工夫が効果的です。こうした努力で内覧時によい印象を与え、高額売却につなげられます。

築年数が経過した中古マンションでも売れる?

一般的にマンションは購入後1年で価格が急落し、購入から10年までの間に比較的大きく価格が下がります。その後は20年目くらいまで比較的緩やかに価格が低下し、21年目以降は急激な値崩れがなく、緩やかに価格が下がり続ける傾向があります。

築年数が経過した中古マンションでも、大規模修繕などが適切に行われていれば、室内をクリーニングするなどの工夫で高く売ることが可能です。さらに、駅に近いなど立地に優れている場合や、周辺エリアの開発状況が良好な場合は、売却時の価格が下がらず、高く売れることがあります。

マンション売却のベストタイミング

マンションの売却には、2月から3月の引越しシーズン前が最適です。この時期は進学や就職、転勤が多いため、中古物件の需要が高まります。売却を成功させるには、12月から1月に不動産会社と媒介契約を結んで準備を整えておきましょう。

一方で、1月や8月はマンションが売れにくい時期とされています。そのため、時間に余裕がある場合は、売れやすい時期に売り出す方が高値での売却が期待できます。また、マンションの大規模修繕後の外観がきれいなタイミングも、売却に適しています。

中古マンションの価格が上昇している時期は、売却の好機です。しかし、マンション価格が高い時期には、住み替え先の住宅価格も上昇しているため、必ずしも得をするとは限りません。売却したい物件の立地や特性によっても売りやすい時期は異なりますので、まずは不動産会社に査定を依頼して相談してみましょう。

まとめ

マンションの売却で失敗しないためには、まず自分で周辺の価格相場を確認し、複数の不動産会社に査定を依頼することが大切です。そのうえで、信頼できる不動産会社に仲介を依頼し、高すぎず低すぎない適正な売出価格を設定することで、スムーズな売却が期待できます。

マンションの売却活動は主に不動産会社が行いますが、売主も内覧の準備や自身の引越しの手配などを行う必要があります。内覧のためには、室内を明るく清潔な雰囲気に整えるなどの工夫が必要です。また、売却成立までの期間や売却価格などを事前に計画し、計画的に売却活動を進めることで、希望通りの価格での売却が実現しやすくなります。

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