家を買ったばかりだけどなにか理由があってすぐに売りたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、買ったばかりの家を売ると損をしてしまうことが多く、特に新築物件を売るとその傾向が強くなります。
この記事では、買ったばかりの家を売る際に損をしてしまう場合と、あまり損をせずに売れる場合について、また家を高く売る方法について解説します。
買ったばかりの家を売ると損をする理由
買ったばかりの家を売るときは、損をする可能性が高いです。
どうして、買ったばかりの家なのに購入時と同じくらいの価格で売ることができないのでしょうか。
中古であるだけで価値が大幅に下がるため
日本では中古よりも新品を好む傾向があり、新築の家にはその価値が価格に上乗せされて販売されています。
しかし、一度でも入居した家を売る際は、分類上中古物件として扱われてしまいます。そのため、建てたばかりでも価格が大きく下がり、新築時と同じ価格で売ることは難しいのです。
このため、新築物件を購入した人がすぐに家を売ると損をする可能性が高いと言えるでしょう。
所有して5年経たずに売ると税金が高くなるため
もし新築の家ではなく、中古の家を購入してすぐに売るという場合も損することは避けられません。
家を売却して売却益が発生した場合、所得税と住民税を支払うことになります。これらはまとめて譲渡所得税と呼ばれます。譲渡所得税は家の所有期間によって税率が異なり、売却した家の所有期間が売却年の1月1日時点で5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、それぞれ異なる税率で課税されます。
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) | |
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
計 | 39.63% | 20.315% |
5年以上所有していない、買ったばかりの家を売ると、高い譲渡所得税を支払うことになります。長期間所有してから売却する場合に比べ、購入後すぐに売却するのは損をしていると言えるでしょう。
節税になる特例を使用できないことがあるため
2年以内に以前住んでいた家を売却した際に、節税特例を利用していた場合、買ったばかりの家を売却する際には控除を受けられないことがあります。
マイホームを売却した際に売却益から3000万円を控除できる特例には、前年および前々年にこの特例を受けていないことが適用条件となっています。
そのため、以前住んでいたマイホームを前々年以降に売却してこの3000万円控除の特例を使用していた場合、買ったばかりの家を売る際には同じ特例を利用することができません。これにより、売却益に対してかなり高額な譲渡所得税を支払うことになる場合があります。近年中にマイホームを売却した人は注意が必要です。
住宅ローン控除と3000万円控除はどちらか一方しか使用できないため
上記で解説した3000万円特別控除の特例と、住宅ローン控除は併用することができません。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームの購入やリフォームをした際に、一定期間所得税から控除を受けられる制度です。
どちらの控除も節税に役立ちますが、適切な控除を利用できなかった場合は損をしてしまいます。
もし買ったばかりの家を売り、新しい家を購入する際は、住宅ローン控除と3000万円控除のどちらを使用したほうが損をせずに済むかを考慮しましょう。自分で判断が難しい場合は、不動産会社に相談することをお勧めします。
買主が見つかりづらいため
買ったばかりの家を売る場合、その理由が売主・買主双方にとってネガティブなものであることが多いです。
家自体に原因がある場合や周辺環境に問題がある場合などが考えられます。家自体に問題がある場合には、水漏れや雨漏り、シロアリ被害、事故物件などが挙げられます。周辺環境に問題がある場合では、線路や大通りに近くて騒音に悩まされる、近隣トラブルや治安の問題があるなどが考えられます。
こうした問題を抱えた住宅は、新築と変わらない価格では購入希望者がなかなか現れないでしょう。仮に購入希望者が見つかったとしても、多くはリフォームを前提とするケースであり、リフォーム費用が掛かるため、購入希望者は物件の欠陥や問題点を指摘して少しでも安く購入しようとするでしょう。
結果的に、買い手が見つかりにくく、売却価格が低くなってしまうため、家を手放して損をすることが考えられます。
注文住宅の場合は購入額と売却額との差が開きやすいため
新築の注文住宅を買ったばかりで売却を考えている方も損をしてしまう可能性が高いと言えます。
注文住宅の魅力は、建物のデザインや間取りなどにこだわることができる点です。新築であることもその魅力の一部であり、注文住宅の購入費用は一般的に高額です。
しかし、このこだわりや新築の魅力は売主の視点ではなく、むしろデメリットになることがあります。他の販売物件に比べて見劣りすることがあり、売却価格に影響を及ぼすことがあります。
したがって、新築の注文住宅を購入したばかりで売却を検討する場合は、売却価格が予想よりも低くなるリスクがあることを理解しておく必要があります。
買ったばかりの家を売っても損をしない可能性
買ったばかりの家を売ると損をしてしまう可能性が高いことについて書いてきましたが、損をしない、あるいは大きな損を避けられるケースも存在します。
家を売却する際には、購入時の価格と近い価格で売却したいという希望がほとんどでしょう。実際、家が特定の条件を満たしていれば、購入価格と同等またはそれ以上の価格で売ることができる場合もあります。
高く売れる家にはどのような特徴があるのかをもとに、損をしない可能性について解説していきます。
もともと中古物件を購入していた場合
中古物件を購入していた方は、損をせずに家を売ることができる場合があります。中古の家を購入する際には、新築の価値が価格に上乗せされていないため、購入価格と同等の価格で家を売ることが可能です。
ただし、家の価値は築年数によっても大きく左右されます。築年数が経過するにつれて売却価格が低下する傾向があります。そのため、中古の家を購入してすぐに売却する場合は、できるだけ築年数が経過する前に売ることが重要です。
話題になった街に家がある場合
テレビ番組や新聞、雑誌、インターネットなどで「住みたい街」として注目されている地域の家は、高く売れる傾向にあります。
注目された街は、その魅力や利便性が広く知られることで、多くの人々がその街に興味を持ちます。その結果、少し高めの価格でも売却することができる場合があります。
また、話題になった駅の近くに家がある場合も同様で、その駅周辺の便利さやアクセスの良さが評価され、高値で取引されることがあります。街や駅が話題になることで、その地域の家の価格も上昇する傾向にあると言えます。
再開発の予定がある地域に家がある
再開発された地域は一体の価値が高まります。
特に、家の近くに駅や病院、有名学校などがある場合、その地域の家の需要が高まります。
また、まだ再開発が進んでいない地域でも、近隣に大型ショッピングセンターが建設されるといった再開発の情報があれば、少し強気の価格でも家を売ることができるでしょう。
高級マンションが建設された地域に家がある場合
周辺に高級マンションが建設されると、その地域のイメージが向上し注目が集まるようになります。その結果、新築マンションだけでなく中古マンションの購入を検討する人も増えるでしょう。
このように、自分の家の価値が直接的に上がらなくても、周囲の高級マンションの建設や存在が家の売却価格を高める要因となることがあります。
中古物件ではなく新築物件として売れる場合
新築物件は一度入居して生活を始めると中古物件として扱われ、その価値が下がってしまい、売却時には価格が低下する傾向があります。
しかし、物件の工事が完了しても入居せずに保管しておき、工事完了から1年以内であれば新築物件として扱うことができます。
このようなケースでは、実際に家を売り出す際に新築物件としての価値を維持し、強気の価格設定を行っても買い手が見つかる可能性が比較的高いです。そのため、買ったばかりの家を売却する際のリスクが軽減されることがあります。
似た条件の物件が高値で売れているケース
買ったばかりの家を売却しようと考えている際に、周辺の似た条件の物件が高値で売れている場合は、自身の物件も売却価格が高くなる可能性があります。
周辺の同じような条件の物件が高値で取引されていると、ご自身の物件にも同様の価格での購入希望者が見つかる可能性が高くなるからです。
買ったばかりであっても家を売却しようとお考えの方は、ぜひ周辺の似た条件の物件がどのくらいで売れているかを調査してみてください。
買ったばかりの家を高く売るには
家を売る際には、できるだけ購入時と同じくらいの価格で売りたいと考える方が多いでしょう。
結局、買ったばかりの家を高く売るにはどうすればいいのでしょうか。
できるだけ早く売る
5年以内に売却するのであれば、税金の面で損をするのは買ってから1年後に売っても2年後に売っても変わりません。
しかし、家は築年数が経過するにつれて価値が下がる傾向にあります。そのため、できるだけ築年数が経過する前に売却することが、より高く売却する秘訣です。
中古の場合でも築年数が経過してから家を売ると高値での売却が難しくなります。
買ったばかりの家を売却する場合は、できるだけ早く売ることで高値で売却できる可能性が高まります。
買ったばかりの家をすぐに売却しなければならないとお困りの方はご相談ください。