近年、土地価格と注文住宅価格が上昇しています。その中で、性能を下げずに価格を下げる商品を各社が販売し始めています。それが規格住宅です。
規格住宅も注文住宅であることに代わりはないのですが、選択の幅が狭いことが特徴です。決まった規格しか選べない代わりに設計にかかる費用を削減して少しでも安くするという考えをしているメーカーが多いです。
そもそも規格住宅とは
規格住宅とは、ハウスメーカーが設計した規格に沿って建てる住宅のことです。間取り、設備、内装、外装などが最初からある程度決まっており、施主はハウスメーカーが提示する一定の選択肢をベースに具体的なプランを策定します。
規格に含まれない資材やデザインは選べないため、自由に住宅を設計することはできません。そのため、施主の希望やこだわりをすべて反映できない可能性があります。
しかし、ハウスメーカーでは規格のパターンを複数用意していることもあります。中には100以上の図面を用意しているメーカーもあります。パターンの組み合わせを変えたり、足りない部分をオプションで追加したりすれば、自分好みの住宅を建てることは十分可能です。
各ハウスメーカーの商品比較はこちら→
規格住宅のメリット
規格住宅を選ぶことによる多くのメリットがあります。
価格が下がっても性能は下がらない
規格住宅は設計の手間がかからないため、自由設計の注文住宅と比較して費用を抑えて建てることができます。
自由設計で図面をつくるとこだわりを詰め込んだ結果、設計に無理が出て断熱性能や耐震性能が下がってしまうことが稀にあります。一方で、規格住宅はハウスメーカーにとって各設備を一番配置しやすいノーマルな場所に配置しているため、最大限の性能を発揮できます。
間取りで失敗しにくい
規格住宅は、用意された間取りプランから選ぶ商品です。選択肢は絞られていますが、過去に建てられた家のデータを集約して満足度が高い・使い勝手が良い家を基にしているので、使い勝手の悪い間取りに後悔する可能性は減るといえるでしょう。
自由設計の注文住宅では、「他の家族にとっては使い物にならないけれどオーナー家族にとっては最高に使いやすい家」が実現できます。
一方で規格住宅は、特別大きなこだわりがなく基本的な住宅性能が備わっていれば満足できる方にはおすすめの住宅です。
また、注文住宅よりも完成形がイメージしやすいため、生活動線のスムーズさやデザインの統一感を確認した上で話を進められるのも安心です。
工期の短縮が可能
規格住宅を建築する場合、一般的な注文住宅と比べて打ち合わせ回数を減らしたり工期を短くすることが可能です。
打ち合わせ回数の減少や工期の短縮によるメリットは、コストを抑えられるだけではありません。 顧客側としても、間取りなどの打ち合わせ時間や回数が減り、完成までの時間が短縮されて入居がスムーズになるという利点もあります。
完成後の住宅をイメージしやすい
規格住宅は、間取りや仕様がある程度決まっているため、どのような住宅が建つのかイメージしやすいのが特徴です。一方で、注文住宅はオーダーメイドで設計する性質上、完成後の住宅をイメージしにくいことがあります。
規格住宅の場合、設計段階と完成後のギャップが少ないため、入居後に「間取りが使いにくい」や「思ったよりデザインが良くない」といった後悔が生じる可能性が低いです。
過去の施工事例やモデルルームを参考にできる点もメリットです。全く同じ図面で建てた家の実物に触れることができるかもしれません。
資金計画を立てやすい
規格住宅はあらかじめ決められた規格に沿ってプランを策定したり、資材や設備を発注したりするため、早い段階で予算を確定させることが可能です。そのため、資金計画を立てやすいというメリットもあります。
選択肢が限定されている分、比較的簡単にプランや予算を調整できるため、コストカットを検討しやすい点もメリットです。
また、早期にきちんとした資金計画を提示できるので、住宅ローンを申し込む際も有利に働きます。
規格住宅のデメリット
規格住宅にはデメリットもあります。
土地の形状によっては建てられない
規格住宅は、あらかじめ決められた間取りや設計で提供されるため、土地の形状や条件によっては建てることが難しい場合があります。複雑な形状の土地や高低差のある土地や細すぎる土地だと土地面積が十分にあったとしても建てられません。建てたい土地が先に決まっている場合は、事前にハウスメーカーと相談する必要があるでしょう。
注文住宅ほどの自由度はない
規格住宅は建売住宅よりは自由度が高いですが、注文住宅に比べると自由度は限られています。
やはり希望通りの間取りを実現したいと思った方は、同じメーカーの自由設計の住宅に移行するとよいでしょう。
規格住宅に向いている方
規格住宅にはメリット・デメリットがあり、その向き不向きがあります。
- 仕事や子育てが忙しく、打ち合わせに時間をかけられない
- できるだけ早くマイホームを取得したい
- 性能や設備はよいものにしたいけれど間取りへのこだわりはあまりない
- それでも建売住宅だとデザインに不満を感じる
- ちょうど良いサイズの土地を持っていて建て替えたい
こういった方々にはおすすめできます。
一方、オリジナリティやこだわりのある家づくりを求める方や、変形地や狭小地に建てたい方には、注文住宅が適しています。
また、価格や建設のスピードを最重要事項とする方には、建売住宅がおすすめです。
ご相談はこちら