築50年の一戸建ては売れるの?

築50年を超える一戸建ては「価値がないから売れない」と考えている人も多いでしょう。確かに、一般的に流通している物件と比べると売却は難しいかもしれませんが、決して売れないわけではありません。

築50年を超える古い戸建の売却には、適切な売却方法を見極め、押さえておくべきポイントを理解することが重要です。

一戸建ての売却相場

建物の価値

木造戸建住宅の場合、22年で減価償却されます。しかし、市場価格はそうではなく、新築から15〜20年で約9割程度価値が下がり、その後は緩やかに価値が低下する傾向があります。そして、築50年の建物はほとんど価値がないと評価され、解体費がかかることも考慮すると価値はマイナスであるとされることがほとんどとなります。

例外的に、建物の状態が良ければ評価されることもあります。近年、リノベーションされた古い家を購入する人も増えており、築年数と同じくらい部屋の状態を重視する人が多いと考えられます。築古でも水回りや内装がきれいに保たれている場合は、築年数だけで判断せず、不動産会社に相談して正確な価格を知ることが重要です。

土地の価値

一方で、土地は周辺相場や利便性を中心に評価され、敷地の大きさや形状、建築制限の有無なども考慮して価値が算出されます。駅近や整形地なら欲しがる不動産会社は現れやすいです。敷地が狭くても隣地と合わせることで条件が良くなる土地になることも考えられます。

築50年の一戸建てを売却する方法

築50年の一戸建てを売却する方法は色々と考えられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、特徴を見極めた上で売却方法を選択することが成功のカギです。

建物が建っている状態で売却する

現在建っている家を解体せず、そのまま売却する方法です。

不動産会社が査定し、建物にも価値があると判断された場合、建物を残したままでの売却が可能です。また、解体費用を捻出できない人は、建物が建っている状態で売却するケースが多く、この場合は古家付き土地として売却されます。

解体を前提に購入を検討する人や、リノベーションを前提に購入する買主が見つかる可能性もあります。

売却活動中に売主へかかる費用負担はありません。

建物を解体して更地にして売却する

建物を解体して更地として売りに出す方法です。

この方法では、建物を解体することで買主の解体手間が省けるため、土地の形状や利用可能性が明確になり、買主にとって大きなメリットとなります。

ただし、注意すべき点としては、解体費用が基本的に売主負担になることです。解体費用の相場は一坪あたり約30,000〜50,000円程度ですが、業者や建物の構造・面積によって異なるため、複数の業者に見積もりを依頼して慎重に判断する必要があります。

また、古い建物にはアスベストや石綿などが使用されている可能性がありますので、これらの撤去には別途費用がかかる場合があります。事前に業者に確認しておくことが重要です。

更地にすると、住宅が建つ土地に適用される軽減措置がなくなるため、固定資産税が増額する点にも注意が必要です。売れない期間がが長引くと負担も大きくなります。このため、固定資産税の増額を考慮して、「更地化予定の土地」として建物を残したまま市場に出すことも検討される場合があります。

リフォームして売却する

リフォームやリノベーションを実施し、きれいな状態にして売却する方法です。

物件の老朽化が目立つ部分や設備を新しいものに交換することで、買主に良い印象を与えることができます。その結果、そのまま売る場合よりも高く売れる可能性があります。

ただし、リフォームやリノベーションを行うことで自己負担が発生します。過度に費用をかけすぎると相場と乖離した価格になり、逆に売れにくくなったり、売却益で資金回収ができなかったりするリスクもあります。

古家付き土地を購入する際に自身でリフォームすることを前提としている買主もいるため、そのような買い主を逃すリスクも生じます。

リフォームやリノベーションは慎重に行い、不動産会社とよく相談し、適切な販売戦略を立てることが重要です。

不動産会社に買い取ってもらう

土地の需要が低い物件は、購入希望者がなかなか現れない場合があります。このような場合、不動産会社に直接買い取ってもらう方法を利用することも考えられます。

買取りのメリットは、すぐにお金が手に入る点です。ただし、売却金額が下がります。買取業者の査定額に基づいて取引が行われるため、具体的な金額は一概には言えませんが、仲介での取引価格の6〜7割程度で売却されることが一般的です。

空き家バンクを利用して売却する

不動産業者に売却や買取りを依頼する代わりに、各自治体の空き家バンクに登録して売却活動を行う方法があります。

空き家バンクは不動産業者を介さず、物件の登録料や仲介手数料などの諸費用が不要です。ただし、売主と買主のみで交渉や売買契約を行う必要があります。

また、空き家バンクを利用する場合、自治体はトラブルの解決に介入せず、当事者間で解決する必要があります。

さらに、空き家バンクを設置している自治体は限られており、利用できない場合もあります。

空き家バンクは売却手段の一つとして考えるべきであり、まずは仲介や買取りを検討するのが良いでしょう。

築50年の一戸建てを売却するときの注意点

自分で相場価格を調べてみる

入れ替わりが活発なマンションなどでは価格は安定しますが、築古の一戸建てに対する評価は各不動産会社で大きな差があります。

不動産会社の中には、手早く売却して仲介手数料を得ようと、相場より低い査定金額を提示する場合があります。一方で、契約を取りたいがために相場からかけ離れた高額を提示するケースもあります。

不動産会社が提示した査定額が妥当かどうかを判断するためには、売却予定の物件の相場価格を事前に調査しておくことが重要です。

建物の状況はそれぞれ異なるために判断しにくいと思われますが、土地の相場は近所で同じような条件であればある程度見当がつけられると思います。

相続人全員の同意が必要かもしれない

相続した不動産の売却には、相続人全員の同意が必要です。

たとえ1人が一戸建てを売却したいと考えても、相続人の中に1人でも反対があれば、売却することはできません。

したがって、相続した不動産の売却を検討する場合は、まずは時間をかけて相続人との話し合いを進め、必ず相続人全員の同意を得るようにしましょう。

土地の境界線を明確にしなければいけない

戸建てを売却する際には、土地の境界線を明確にしておくことが必要ですが、築50年以上の古い一戸建てでは、境界線が曖昧担っている場合が多いです。

境界が不明な場合は、売却前に境界の確定が必要です。これには専門の測量業者による測量が必要であり、費用は土地の広さや状況によって異なりますが、数十万円以上の費用がかかる場合があります。

再建築が不可な場合がある

土地によっては、再建築が制限されるケースがあります。再建築ができない場合、解体してしまった後に利用制限がかかり、買い手が見つかりにくくなる可能性があります。

再建築ができない主な原因として、以下の点が挙げられます。これらに該当する場合は、接道義務を満たしていないとみなされ、再建築が認められません。

  • 建物の敷地が建築基準法上の道路とまったく接していない場合
  • 建物の敷地が建築基準法上の道路とは接しているが、接している幅員が2m未満である場合
  • 建物の敷地が幅員4m未満の道路や私道とのみ接している場合

売り方が制限されます。

売却には時間がかかる

もし少しでも不動産を売りたいと思っている場合は今すぐに売却活動を始めるべきです。

一般的な不動産売却の場合、売却活動を開始してから引き渡し完了までには、通常であれば3〜6ヵ月程度かかると言われています。ただし、この期間はあくまで目安であり、築年数が比較的新しい物件でも、6ヵ月以上かかることが少なくありません。

築50年を超える古い家は、購入検討者が一般的な不動産よりも少ない傾向があります。そのため、売却にはより長い期間が必要となることが明らかです。特にリフォームや更地にしてから売却する場合は、さらに時間がかかることが想定されます。

絶対に売らなければ間に合わないタイミングで焦って売却活動を始めてしまうと、相場よりも低い価格で売買せざるを得なくなったり、高く売るチャンスを逃してしまったりします。損をしないためにも、期間に余裕をもって売却に臨むことが重要です。

まとめ

築50年を超えるような古い家でも売却は可能ですが、成約までの期間が通常よりも長くかかることや、売却前に確認すべき事項がいくつか存在することがあります。

築50年を超える一戸建ての売却は一般的な不動産を売却する場合よりも難易度が高いのは事実です。しかし、売却する方法は存在します。

売却を実現するためには、信頼できる不動産会社の力を借りて、共に売却活動を進めることが重要です。

今回紹介したチェックポイントを参考に、信頼できる不動産会社を見つけ出し、売却を成功させましょう。

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